小児歯科の治療内容
お子さまの歯科治療では、虫歯の予防と早期治療が重要だと考えています。
お子さまは大人よりも歯が柔らかいため、虫歯の進行が早いのが特徴です。その虫歯を防ぐためにも、当院では下記の歯科治療を行っています。
ラバーダム防湿法
大人に比べてお子さまは唾液が多く、治療の際にお口の中に器具や手が入ることで、気持ち悪くなる場合や吐き気が出やすい場合があります。
当院では、その不快感を解消し、よりスムーズにお子さまの歯科治療を行うために、ゴムで出来たシートを使い、治療に必要な歯のみを外側に出して治療する方法(ラバーダム防湿法)を行っています。
ラバーダム防湿法にはこんなメリットもあります。
- 唾液に含まれる細菌の侵入を防ぐ
- 舌や頬、唇などはシート下にあるので、傷つく心配がない
- 歯を削ったり洗ったりするときの水が、お口の中に流れない
- 小さな器具や薬がお口の中に落ちたり、飲み込んだりする心配がない
一見「苦しそう」「痛そう」と思われがちなラバーダム防湿法ですが、口を完全に覆うものではないので、お口からも鼻からも呼吸することができます。治療時の危険や苦痛からお子さまを助ける、安全な治療法となります。
シーラント
乳歯も永久歯も、奥歯には深い溝があります。この溝に食べ物がつまり、歯磨きで落とすことができないままになると、歯の質が弱い乳歯や生えたての永久歯では虫歯が進行してしまいます。
この溝に、虫歯になる前に溝を埋める薬を塗布し、汚れが入り込まないようにする方法がシーラントです。
唾液や水分が入ることで薬が剥がれやすくなりますので、しっかりと乾くまではラバーダム防湿法を同時に行うこともあります。
レントゲン撮影
乳歯や生えたての永久歯は歯の質が弱いため、虫歯になりやすいものです。また、歯と歯の間の虫歯は、上から見るだけでは殆ど見えず、気付いた時には、神経まで達してしまうような虫歯になってしまうことも少なくありません。
そこで、目では見えない虫歯に対して、初期虫歯のうちに見つけるために、お子さま用の小さい器具で必要な時にレントゲン撮影を行っています。
歯磨き指導
お子さま自身での歯磨きは、食事後には必ず歯磨きをするという習慣付けのために大切です。ただ、自分で歯磨きをしても磨き残しが多いため、虫歯を予防するためには仕上げ磨きがとても大切になります。
当院では、お子さまの年齢によって、仕上げ磨きの方法や自分で磨く方法を、汚れを染める染色液を使ってお伝えしています。お子さまにとっては、どれくらい汚れているのか、どうしたら汚れが落ちるのかを理解してもらい、歯磨きをする上でのモチベーションにつなげています。
お子さま自身で綺麗に磨けるようになるのは、だいたい小学校4−5年位と考えています。それまでは、お子さま自身でどれくらい磨けているかのチェックを含め、ご家庭でしっかりと仕上げ磨きをしてあげるようにしましょう。
治療の流れ
初日
- 問診
- お口の中の検査
- 必要があればレントゲン検査
- お口の状態のチェックと説明(虫歯や汚れの状態、仕上げ磨きや生活習慣で気をつけることなどの説明)
- お口の汚れ取り
基本的には、初回は検査や状態の把握を行い、次回以降から治療を開始します。
※急を要する場合には治療から始めます
2回目~
治療を行います。治療の回数は虫歯の進行度合いによって変わります。
最終日
歯磨き指導と希望があればフッ素塗布(自由診療)を行います。
治療が終わった後
定期検診でお口の状態をチェックいたします。
お子さまの歯を守るためのメッセージ
親御さんたちは、お子さまの歯が生えてから歯磨きを始めるという方が多いと思います。
しかしお子さまにとっては
“突然寝かされ、必死な形相をしているお母さんが、見たこともない硬い歯ブラシを口に入れてくる”
そんな状態はとても怖いと思いませんか?
歯磨き自体はお風呂と同じように、口の中を綺麗にするだけのことで、痛みなどはないのですが、そんな背景が「歯磨き嫌い」を作っている気がします。かといって、磨けていないのは心配ですよね。
そこで、“歯磨きは親子の楽しいコミュニケーション”という認識に変える方法を探ってみてはいかがですか? 遊びながら、そして楽しく歯磨きができれば、仕上げ磨きをする親も子どもも苦痛ではなく、幸せな時間になるのではないかと考えています。
具体的には、まだ歯が生えていないお子さまには、お膝の上に頭を乗せて、綺麗な指を使ってお口の周りをさわったりすることからはじめてみましょう。慣れてきたら、お口の中を触ってみたり、指を歯ブラシに変えてみたりと少しずつ進めていきます。気分によっても反応は変わるので、始めは進んでは戻っての繰り返しです。
すでに歯が生えているお子さまには、好きな味の歯磨き粉を付けたり、お互いに楽しみながら歯磨きをすることを、少しずつ試していただければと思います。
個人差がありますので、上手にできなくてもいつかできるようになるのでご安心ください。
“泣いて暴れるから押さえてやる”
ではなく、いつもそばにいる親が愛情をもって行うことで、子どもはその感情をしっかりと受け止めます。
まずは、仕上げ磨きをする親御さんが力をぬいて楽しんでできるようになると、歯磨きは楽しいものになるかもしれませんね。